今敏 「千年女優」 劇場作品2002 作画監督・原画
例えば、人口筋肉が実現したらどんなものになるんだろう。
素材によって出力が色々で、用途に応じて選ぶことができるぐらいにはなると思う。
介護職の人が高出力の素材を移植したり、運動競技が人口筋肉の出力別に階級分けされたりなんかして。
そんでアスリートの違法インプラント問題なんか出てきたりして。
高出力の素材だと、生身の骨だと耐えられないから骨がチタンとかカーボンファイバー製になったりとかして。
そんで骨のカーボンファイバー化でダイエット成功!とかいうアホが出てきたりなんかして。
伸縮の調節は、神経の信号をそのまま使用できるように電流で行うことになるだろう。
信号の制御は、体内に埋め込んだ集積回路が行う。
集積回路が脳から信号を受け取って解析を一瞬で行い、各人口筋肉部分に伝達する形が考えやすい。
メンテナンスを頻繁に行うのは難しいだろうから、人口筋肉の素材も集積回路も、出力にはけっこうな余裕をもたせておいてアイドリング状態で使用することになる。
そうすると、脳にも何かしらの電子領域を持っている奴がクラックとかで制御のリミッターをはずして、すげえパワー出して危ないことしたりするかもしれん。
でも体の一部として使えるような耐久性と意思どおりに動かすということを考えたらきっとこうなる。
ここまでを前提に、300tぐらいの重量挙げに挑戦する場合について考えてみよう。
そんなチャレンジしようとしてるんだから、当然筋肉も集積回路も骨も超高強度、超高出力の素材を移植している奴だ。
指をかけ、力を込めた瞬間から骨がきしみ筋肉が剛直する。
限界信号のリミッターも超えて、筋肉へ指令を出し続ける。
まだ強く! もっと強く!
背筋の制御が秩序を失い、ただひたすら後方に向かって蠢動する。
最初に限界が来るのは、関節の強度だ。
腕はもちろん膝の関節も支点になっているから、どっちも外れてしまう。
でももう少しで持ち上がる・・・もう少し・・・
関節が外れても、筋肉でそれを押さえつける。
筋肉で無理やり引っ張り続ける。
持ち上がるはずもなく、負荷が引張破断荷重を超た瞬間に手足がはじけ飛んでしまう。
それでも集積回路は収縮の信号を送り続けるばっかりで、体棹の制御を得られない体は糸の切れた人形のように虚しく倒れるのであった。
頭の中のイメージを描写するのは難しい・・・
描写までしなくとも、イメージのリアリティとかを追求してみたらどうなっていくんだろうか。
追求していくと、濱洲英喜はすごいなぁというところに落ち着いてしまう。
濱洲英喜のイメージの世界は、私なんかよりはるか上の次元にあるということなんだろう。