志村貴子 「青い花 第一巻表紙」 f×COMICS 2006
私は漫画も好きでよく読む。
好きな漫画家もいっぱいいるが、その中でもけっこう上位に来る志村貴子について。
書いてみたいと思います!
絵柄は、すごくあっさりしたキャラクターデザインとスクリーントーンをあまり使わないふわふわした爽やかなものだ。
しかし、内容にはとんでもなく渋いエグ味成分しか無い。
かわいい絵柄に釣られるとびっくりしてへこんでしまう。
作品には性的な齟齬を題材にしたものが多い※。
どう考えても難しい題材だが、キャラクター達の内面の掘り下げが精緻を極める。
ただし、その内面について具体的に言及されることはほとんど無い※。
※連載中の作品 青い花→レズ
放浪息子→女装
※なんと、主人公についても同様だ!なので主人公がよくわからない作品もある。FF6だな。
百合とか男の娘とか、そんな軟弱で表面的な寝言みたいなテーマの扱い方はしていない。
一つの人格として確立されたキャラクター達が真剣に悩み苦しみながら生きていく様を、客観的に淡々と描写していくのだ。
現実世界でも人の内面の奥深くにまで踏み込むことは少ない。
「何かモメてるけど正確な原因は当事者以外は知らない」とか「この子はたぶんこういうこと言うなぁ」とか、自分以外の人間に対する理解は普通こんなもんだ。
私など、自分についてもよくわかっていない。
作品を読むと、このような状況と同じ心境になる。
こんな感じで、作風の説明になっているかな?キャラクターの背景がしっかり生きているから、真剣に読むほどに味わいが増していく。
人間模様が展開し続け、伏線なんかまとまることなくふくらみ続ける。
にもかかわらずストーリーが途中で破綻することも無く、途中から読み始めても困らない。
これだけでも十分すごいが、何よりも驚くべきは、なにかの出来事はそれ以前のすべてが伏線になっているということだ。
まさに生きた人間模様を、上述のような難しい題材を扱いつつ描いているのだ。
実在はしないのだろうが、まわりに登場キャラクターみたいな奴がいたとしか思えない繊細さである。
一体どういう風に生きてきたらこんな作品が書けるのだろうか・・・。・・・まだ長いかなぁ。
記事が長いと人に言われてしまいました。
わかりやすくすることを心がけます。
要点を短くまとめるのは大変なことですね。