hanairo

花咲くいろは 第7話 「喜翆戦線異状なし」です。
常連客のサバゲーマー達と緒花ちゃん達が一悶着、というちょっと困ったギャグ回でした。
さらに、金沢弁の監修が能登家の人々だったというちょっとしたサプライズもありました。



ただ、一言物申したいこともある。


花咲くいろはの主題のひとつには、「町おこし」というのがあった。

ここで目指されている町おこしのやり方は、文化や風景なんかをアニメを通して見て知ってもらって観光客を増やすとかそういうことだろう。
金沢が話題に上るようになったり、アニメのイベントが行われたりしてるから、効果もあったのだろうと思う。
あえて難しく言えば、観光産業を主体にして町を訪れる人を増やし活気を呼び込む、ということが町おこしの目的になるわけだ。

観光産業のPRのあり方としては、楽しいところ・良いところ・美しいところのみを目立たせることに注意しなくてはならない。
観光に訪れる人々はその土地に住んでいる人ではないから、できるだけ関心を煽るやりかたをしなければならないのだ。

翻って、隠れられる場所や人目につかない場所などの情報は排除しなければならないということになる。
中でも徹底してシビアに排除しなければならないのは「悪いことができそうなイメージ」だ。
人が増えれば観光客を狙う犯罪者はどうしたって寄ってきてしまうものだが、最初からの犯罪者込みで人が集まってしまうと、活気を呼ぶ前に治安が悪化する。
観光客は普通土地のことを知らないから、基本的には不安な状態で集まってきている。
最低条件として治安の面で安心感がなければ、当然ながら人は来ない。

よって観光地では、観光で訪れる人が良い部分を楽しみ、実際に土地に生活する人々が治安や生活等の歪みとなる部分の全てを引き受ける、ということが起こる。
観光産業というのは基本的にそういうものだ。



私はこのような「観光産業主体の町おこし」が、花咲くいろはの現実世界へ向かうテーマのひとつに置かれているものとして見ている。
このように見た場合、今回のようなやり方ははっきり言ってダメ。


ギャグメインの回だし、たぶんフルメタのパロディも意識されてたと思うが、こういうことはしてほしくなかった。
フルメタみたいに設定がぶっ飛んでいる上に展開も現実離れしていれば、風呂覗きも冗談と疑わない。

しかし花咲くいろはの設定は、多少の無理はあっても現実離れはしておらず、舞台に至っては現実のものであり、それをテーマのひとつに置いている。
テーマに現実の町おこしを置いて、その上で犯罪的な冗談をやってしまうのは上手いやり方では決してない。

いくらなんでも花咲くいろはで増えた観光客狙いの覗き魔は来ないだろう。
しかし、風呂覗きも町おこしの一環と捉えるアホが「絶対に生まれなかった」とは言い切れない。
町の人がみんな花咲くいろはを見ていて、みんな花咲くいろはが好きで、花咲くいろはの劇中の出来事ならみんな楽しく再現に協力してくれるに決まってる!という勘違いをするアホのことだ。

聖地巡礼をするオタクがアホだといっているのではない。
ただの住宅街にまで出向くのは十分アホだと思うが、観光地であるところを静かに回るのは普通のことだ。
昨今見られるようになった、騒いでアピールをするDQN気質のオタクを見ていると、こういう心配をどうしてもしてしまうのだ。
こういうアホを、わずかながら生んだ可能性がある。
何をしても迷惑なアホは出てくるが、確実な犯罪を鵜呑みにするアホが出てくるのはどう考えてもまずい。
これは同じマイナスの側面、例えば観光地の交通の便が悪いとかそういったイメージを目立たなくすることとは性質が異なる。

不謹慎厨と一くくりにされるのは誤解だと考えるので、重ねて言っておく。
犯罪の可能性をわずかでも引き上げるようなことは、観光産業のPRの場面では断じてしてはならないのだ。


万が一放映中にこの手の犯罪者が現れてしまったら、一発で放映中止だろう。
金沢にとってはもちろん、花咲くいろはにとっても間違いなく無駄なリスクだ。
ぶっちゃけ次郎丸先生の時も同じことを考えていたが、全く同じことを、より危険な見せ方で見せられたので我慢できなかった。

お禿様みたいなひねくれた監督だったらアンチテーゼと取ることもできそうだが、監督の安藤真裕は職人っぽい感じだし、P.A.WORKS 10周年記念アニメーション作品と銘打たれているし、ひねくれた受け取り方はしづらい。
というか花咲くいろはで監督・安藤真裕からして既に謎だ。


代案がないなら文句を言うな!と宮崎駿が言っていたので一応言っておく。

・サバゲーヲタ達がストーキングし続け、とうとう切れた緒花ちゃんに説教されて改心する。
・不審行動を賭けて喜翆壮チームと対決する。
・サバゲヲタの中に巴さんの幼馴染がいて、そのせいでお見合いを渋っている。

我ながらどっかで見たようなしょうもないことしか思いつかないが、明らかな犯罪をなあなあで済ませたばかりかお客様扱いしていた今回よりはましなはずだ。
「犯罪の可能性」という観点から見れば。

花咲くいろはは、作画も背景もキャラクターも本当に丁寧に、美しく描かれている。
このような見せ方がされてしまって、本当に残念である。




~役に立つかもしれない補足~

能登家の人々
今回の主人公、輪島巴を演じている声優・能登麻美子の家族と思われる。
能登麻美子は金沢出身。

フルメタ
フルメタルパニック、略してフルメタ。
プロの傭兵集団が素っ頓狂な高校生活を送るというギャグアニメ。
二期シリーズで、能登麻美子が演じていたキャラが風呂を覗きを運命付けられた者として命を賭ける話がある。
詳しくはフルメタル・パニック? ふもっふを見よう。

お禿様
ガンダムをつくった人、富野由悠季のこと。
ひねくれたことを言うが、言いたいことが上手く伝えられなくてイライラしているだけのようにも見える。

安藤真裕
筋肉キャラの格闘アクション作画で有名なアニメーター。
作画ではクレヨンしんちゃんやカウボーイビバップで、監督ではストレンヂアで有名。
殴られた人から何かわからない液体っぽいエフェクトが飛び散る。

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