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あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。がついに最終話を迎えました。
11話はちょっと短いんじゃないかなと思ったけど、やっぱり短かった気がしますね。

タイトルは長いけど。

13話までやって、もう少しキャラの掘り下げとかした方がもっと良かったんじゃないかなと思いました。



で、その作画についてですが、結に向かう盛り上がりの加速度MAXになるところで田中宏紀(たなか ひろのり)パートがありました。

ほんとに最高の人選だったんじゃないかと思います。

あの花自体、田中がこのパートやるためにあったんじゃないかと思うぐらいのはまり具合でした。


2話で憲生と伴にNCでやってたみたいですが、総合的に見れば今回のほうが良かったです。

田中の作風と、ストーリーとキャラの雰囲気が見事に一致していました。



ということで、その田中宏紀の絵の特徴とよかった理由です。


  anohana111

髪に特徴があります。

毛束の太さに強弱がつく。

光を反射する一本毛を描いたりもします。

たぶんサラ毛フェチ。


anohana111
だんだん動きが滑らかになっていきます。

BGMとストーリーと、作画のメリハリがシンクロがユニゾン。  

練りこまれてますね。

大事なところですから。


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手の形がなかむらタッチなのも特徴。

たぶん細い指フェチ。

田中の絵はほぼこの手の形になっています。

多少強引な場合でもなかむらタッチです。

(電波女の第1話などを見てみましょう)

目印の一つとしてしまってもいいかもしれません。


このパートのように、たくさん枚数を書いて滑らかに動かすアニメーションが得意です。 

ハマり具合がマジで鳥肌ものでした。

めんまのセリフが作品の本質を表していたものと思います。



ここではヌルヌルした手の動きによってセリフの感傷が一段高まっています。    

滑らかなアニメーションは、普通の速さで動いていてもスローモーションで動いているように見せる効果があるように思います。

併せて、スローモーションの映像と合わさったセリフは、その印象が強化されるということも述べておきます。

これらに従うと、アニメーションの映像では、動作の時間軸とは無関係に効果の演出ができるということになります。

これを今回のパートに当てはめると段落冒頭のことが言えるわけです。    

今回のように、田中のアニメーションはキャッチーで特徴を見つけやすいです。

印象に残りやすい作風なのだから当然です。


テレビの作品で担当したアニメーションでは、個性の方が勝ってしまって浮いた感じになってしまうことも多いです。

いつももったいない感じになっていますが、今回は作品と担当シーンと田中の作風とが奇跡的な取り合わせとなっており、これぞ真髄と言えるものでした。

こういうの見ると本当にアニメが好きでよかったと思います!



反対に、アニメが好きではない人(好きでも嫌いでもない人も含む。好きじゃない=嫌いなことが多いですけどね。アニメの場合)は、こういうヌルヌルした動きはすごく苦手だと思います。
たぶん「気持ち悪い」って言います。

違和感を覚えさせられるからでしょう。

アニメのことはよくわからないがなんか変だな→忌避しておこう→気持ちわる!かな?

不意に感情が動揺させられると、その要因となるものはとりあえず「忌避するべきもの」にカテゴライズされてしまいます。  


何にせよ、初見からこういう動きが気持ちいいと言う人は少ないです。

ではこの動きを気持ちいいものとして受け取るために何が必要かというと、「アニメーションを見る」ということの形式を受け入れて自分なりの枠組みを持っている、ということです。


アニメ視聴の形式を受け入れているのであれば、

無理やり動かされる感情の動き→ストーリーへ感情移入したことによる感情の動き

という変換ができるようになります。

要はアニメを見慣れていれば田中のアニメーションは気持ちいい、ということになります。



尤も、なかむらタッチの方は現在の作画というか、二次絵(萌え絵?デフォルメの効いた絵)の主流だったりします。

この辺はアニメーションと親和性が高いから、枠は作られやすいはずです。

だからそう考えると田中のアニメーションは「玄人好み」ではなかったり。

うん、わかったぞ。

田中の作画はアニメ視聴の様々な段階で最初に現れる壁だ。




田中宏紀は、今一番活躍している若手のアニメーターです。

描くのがめちゃめちゃ速いらしく、一時期は一人原画を何回もやっていたりしていました。

今でも2~3週に一度くらいは必ず出てきます。

なので逆に、ここまでハマるのが珍しくなってしまうのかもしれません。

  



~訳に立つかもしれない補足~


田中宏紀の一人原画

School Days(2007) 6話 絵コンテ+一人原画

あかね色に染まる坂(2008) 3話 絵コンテ+一人原画

咲 -Saki- (2009) 絵コンテ+作画監督+一人原画

他にもあったと思う。

年末の作画アニメ・タクトのタウバーン搭乗も田中原画。



一人原画

1話分の原画を一人で描いてしまうこと。

1話でだいたい300カットぐらい。

めっちゃ早いと言われている松本憲生とか馬越嘉彦とかが月に100カットぐらいらしい。

田中宏紀はどれくらい早いんでしょうね。

絵コンテと兼任とかしてるし、もっと早いのかも。



なかむらたかし

AKIRAの作画監督。

今ではよく見られる、  ↓こういう手の形の源流になっている人。  

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当然これだけではないので、今度何か書けたらいいなと思います。



玄人

アニメに限らず、受け手側に要求する形式の受け入れの度合いが高まるほど「玄人好み」ということになります。

そもそもアニメの視聴それ自体、形式の受け入れが必要。

ただし、このような枠組み、形式の話はセンスに関わる話では全くありません。

自分の中に枠を持っているか、どの程度まで形式を受け入れているか、ということにのみ関わるから、つまりは単に慣れの問題です。

野球とかでも活きの良い若手に注目するのは、だいたい野球についてよく知っている人。

つまり玄人。

そして玄人連中自身の技術や経験は、大してすごくないことが多い。



アニメ視聴の様々な段階

ただ見ている→声優が気になってくる

        →作画が気になってくる

          →脚本家が気になってくる

とか。

田中はアニメーターだから、作画目線で見た場合の様々な段階ですね。

アニメーターとか作画に注目してアニメを見るとき、結構な頻度で田中宏紀がある種の基準としてイメージされやすいと思いました。


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